性能についてBlog

正しい理解を

ジメジメと蒸し暑い季節がやって来ましたね。少し早い梅雨ですが、今年は長く雨が多い予報が出ていますので、気をつけてくださいね。

住宅の相談や問い合わせの中で多い事の一つに、構造の事を聞かれることがあります。

先日の打合せの際にも、この構造についてお話をさせて頂きました。

住宅を考えられる際に、色々なハウスメーカーや工務店のお話を聞かれ、そこで良く出る耐震等級・構造計算のお話。

私の設計する建築は、耐震等級3で構造の設計を行って行きます。

見過ごしがちなのが、その耐震等級をどの様な方法で評価したのか?です。

多くのところが、構造計算で行いますと言われると思います。

この「構造計算」を正しく理解していただいている方は少ないかと思います。

基本になっているのは、「建築基準法」です。

建築基準法にある「構造計算」は、下記の3つしかありません。
①  保有水平耐力計算
② 限界耐力計算
③ 許容応力度等計算

私どもが、基本的に行っているのは、③の許容応力度等計算です。

各それぞれの計算方法を詳しく話すと、かなり時間がかかりますので行いませんが、構造計算は3種類しかないことを覚えていただけると良いと思います。

多くの方は、耐震等級にとらわれてしまって、その根拠となる構造を確かめる方法を気になされていないのではないかと思います。

ハウスメーカーや工務店で行なっているのは、壁量計算と呼ばれる簡易法で、壁の枚数が何枚入っているかを確認する方法です。

つまり、柱や梁の断面の大きさはなんでも良いと言う事になります。

許容応力度等計算は、柱の配置から梁の断面寸法・耐力壁の位置や仕様まで設計する事で、キチンとした計算方法となります。

構造について、あやふやな状況で耐震等級だけを求めずに、どの様な方法で耐震等級を評価したのかまで、確認してみてくださいね。

藤原昌彦

温熱環境について

温熱環境について

【バウムスタイルアーキテクトの温熱環境性能に対する考え方】

夏は涼しく、冬は暖かい、一年中快適な暮らしを無駄なエネルギーを使わなくても実現することは、皆さんにとって理想のことだと思います。
そのためには、「断熱性」や「気密性」「省エネ性」といった「温熱環境性能」をしっかり考えて設計や建築を行うことが大切です。
これらの性能について、実はこれまでの「建築基準法」には記載されていませんでした。

つまり、著しく性能が劣る家であっても、建築確認の許可が降りて建築しても違法ではなかったということです。

しかし、そのままではさすがに問題が大きいということで、2021年4月以降の請負契約においては、その中でも「断熱性能」と「省エネ性能」についてはクライアント様への説明が義務続けられました。

つまり、「あなたの家はこのくらいの断熱と省エネ性能です」ということを説明しなければいけなくなったわけです。

とは言っても、現時点では「どこまでの性能にすべきか」ということではないので、設計者や住宅会社によってそのとらえ方は温度差があります。 そこで、バウムスタイルアーキテクトが考える温熱環境性能のあり方を、ここで簡単にご説明したいと思います 。

1.「断熱性能について」

この性能については、「UA値」という数値的な基準がありますので、そこを一定の水準を保ちつつ、設計のコンセプトやお客様の要望を考量しながら計画しています。

このUA値というのは、屋根や外壁、床下、サッシなどの「外皮」と呼ばれる建物の外を覆う部分の断熱性能の平均を示した数値です。数値が低くなるに従い断熱性能が高くなります。
そして、このUA値は「平成25年度省エネ基準」というもので地域によって指針が出ています。

岡山県については、最も厳しい山間部の4地域ではUA値が「0.75」以下、その他の5地域と6地域では「0.87」以下という基準が決められています。これをクリアすれば「温熱性能等級4」という最高等級が取得でき、「長期優良住宅」では必須の条件となっています。

「長期優良住宅」ではない一般住宅においてこの基準を満たすことは、現時点では義務ではありませんので、ご自分の家がどの数値なのかわからないまま家を建てていたという方も多かったと思います。

今回の改正によって、どの数値を示しているかを住宅会社が「お施主に説明すること」が義務づけられたということです。

そこで、バウムスタイルアーキテクトが考える断熱性能の基準ですが、まずはこの数値を意識しながら計画をしていくことが大前提です。

建物全体の断熱性能においては、壁や外壁と比較すると、窓の部分がどうしても性能が劣ってしまいます。どんなに高性能のサッシを採用しても、ガラス部分の断熱性能は壁や屋根の断熱材の性能にはかなわないのです。

つまり、同じ断熱仕様であれば、「窓の小さな家のUA値は良くなり」、逆に「窓の大きな家は悪くなる」というのが当たり前なわけです。

しかし、いくら数値としてのUA値を高めたいといっても、そのためにあえて窓を小さく設計するのは本末転倒です。採光や眺望、庭との繋がり、空間としての心地よさなど考えると、大きな窓をしっかり設計に組み込むことはとても重要なことです。

なので、バウムスタイルアーキテクトでは、UA値は意識しつつもその数値だけに振り回されずに、建物の設計のあるべき考え方を維持しながら、できるだけ高い断熱性能を維持できるように考えています。

岡山市の基準では「0.87」という数値でも基準をクリアできますが、最低でもZEH基準である「0.6以下」、できればHEAT20のG1基準でもある「0.56」や「0.46」程度の性能を出せるような仕様で建物を計画しています。

もちろん、数値を高めるには断熱材やサッシ自体の性能を高めることになるので、コストに反映されていきます。

コスト面を考えながら、トータルでバランスのよい基準で設計をしていきたいと思っています。

UA値の基準

  1地域 2地域 3地域 4地域 5地域 6地域 7地域
次世代省エネ基準 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
HEAT20 G1 0.34 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56 0.56
HEAT20 G2 0.28 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46 0.46

※6地域 … 岡山市、倉敷市など
 5地域 … 津山市の一部、備前市など
 4地域 … 津山市の一部(旧阿波村)、真庭市の一部など

2.「気密性能について」

温熱環境という意味では「気密性能」も大事になります。
建物の気密性は、サッシの技術向上などにより、一昔に比べたらかなり向上しました。今の建物はある程度の気密性は取れています。しかし、そのせいで家の中に汚れた空気が充満してしまうという悪影響が問題視され、換気という考え方が大事になってきたのです。
気密性能が悪いと、その隙間から勝手に空気が出たり入ったりしてしまうので、計画的な換気ができなくなります。そこで、換気をしっかり機能させるためには、中途半端な気密性能ではなく、しっかりとした気密性が大事になってきたというわけです。
気密性能はC値という数値で表すことができます。これは建物の床面積当たり隙間がどれくらいあるかという指標です。実際に現場で測定器を使って測ります。
バウムスタイルアーキテクトでは、C値が1.0以下になるように建築にもこだわっています。

3.「省エネ性能について」

最後に省エネ性能についてです。
これについては、断熱性能による影響が大きいのですが、その他にも「照明器具」や「給湯器」、「冷暖房機器」などの設備にどれを選択するかも影響します。
これを数値で表したのが「一次エネルギー消費量計算」という計算手法です。

これは、当該建物の断熱性能をベースに「照明器具」「給湯器」「冷暖房機器」「換気設備」などの機器設備の性能を入力して、どのくらいのエネルギーを消費する建物なのかを計算する手法です。
この計算の結果、その建物で使われるエネルギー消費量が、基準の数値をどのくらい抑えられるかによって、その省エネ性能がBEI値として示されるということになります。

バウムスタイルアーキテクトとしては、できるだけ基準を20%以上抑えられるように考えて設計しています。それはBELSという指針で「☆☆☆☆☆」という最高の基準をクリアする性能です。もちろん、これもコストなどのトータルバランスによって全体計画を進めていきます。

このように、バウムスタイルアーキテクトでは「断熱性能」や「気密性能」「省エネ性能」という温熱環境に関わる性能については、「その数値をどこまでクリアするか」を意識しながら、一定レベル以上の高水準の性能の家になるように設計建築しています。

また、数値そのものには関係ありませんが、夏の熱はできるだけ遮り、冬の温かい日差しをたくさん内部に取り入れ、風通しをしっかりと考えて心地よい風が家の中を通り抜けるような設計の考え方を考慮しながら計画を進めていくことも、建築家としての当然の重要なことです。
そういう意味では大手ハウスメーカーとそん色ないレベルの性能を維持していると自負しています。

それは、私たちが一般的な設計事務所とは異なり、建築まで自分たちで行えるという体制だからこそ培うことのできた証かもしれません。

ただ、家は高性能であればそれだけで心地よく暮らせるわけではありません。
使う素材によっても体感としての快適さは異なりますし、それ以前の、設計そのものの考え方によって、快適で楽しく暮らせるかどうかも決まります。
無垢の木材や珪藻土などの自然素材は、触り心地が良く、人にやさしい素材です。更に、家の中の湿度を調節してくれる「調湿機能」を持っていることも大きな特徴です。特に湿度が高い夏の季節には、この効果はとても大きいです。この自然素材を床や壁、造作家具などにふんだんに使うことで、その効果を多く得られることができます。
この自然素材は、合板フロアやビニールクロスなどの工業化製品とは異なり、施工が難しい素材でもあります。その特徴を正しく理解し、現場の職人さんが丁寧に施工しないといけない素材なので、効率重視の大手ハウスメーカーでは積極的にお勧めしていないようです。その点でも、1棟の建物を大事に建築するバウムスタイルアーキテクトの強みが活かされていると感じています。

設計についても同様です。その敷地環境やお客様のこだわり、望むライフスタイルなどをしっかりと把握して、そこに最適な暮らしを実現する家を設計提案していくことが、本来の私たちの役割です。 あくまでも建物全体の計画をしていく上で、性能面をしっかりと意識しながら、クライアント様が満足できる家を実現できるような提案をしていくことが、私たちバウムスタイルアーキテクトの考え方なのです。

【バウムスタイルアーキテクトの構造に対する考え方】

耐震性能について

設計者が住宅をデザインするにおいて、「その建物の構造をどのように考えるのか」というテーマはとても重要な要素です。たとえデザインが優れていたとしても、著しく耐震性の低い住宅になってしまっては全く意味がないですし、そもそもそのような建物は優れたデザインと呼べないと思います。高い耐震性に裏付けられた住宅を設計・建築することは、私たちにとっては至極当たり前であり、住宅の計画提案する上での大前提であると考えています。

その基本的な考えに基づいて、バウムスタイルアーキテクトが必ず行うと決めていること、それは次の2点です。

「許容応力度構造計算」を行う

「耐震等級3」の耐震性を確保する

「許容応力度構造計算」を行うこと

日本の建築基準法においては、原則として建築物は全て「許容応力度構造計算」によってその建築物の安全性を確認することが義務付けられています。よって、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などではこの構造計算を行わないと建築許可が降りません。その際には、間取りやデザインを考える「意匠設計士」とは別に、構造の専門家である「構造設計士」というセクションの人と共同しながら、設計を進めていくという流れがスタンダードです。

しかし、2階建て以下の一般的な木造住宅では、「4号特例」と呼ばれる特例により、確認申請時にこの「許容応力度構造計算」が必要ありません。なので、ほとんどの木造住宅がこの「構造計算」を行わずに建築されている現実があります。この特例については改善すべきという専門家の声も多いのですが、義務化になると対応できない建築設計事務所・工務店が多すぎるという実態もあり、未だ「構造計算」をされないまま、構造の知識が乏しい「意匠設計士」の「勘と経験」で、多くの木造住宅が設計・施工されているのが現状です。

バウムスタイルアーキテクトでは、例え義務ではないと言えども、鉄骨造や鉄筋コンクリート造では必要となる「許容応力度構造計算」は、木造住宅でも行うべきだと考えています。「意匠設計士」の「勘や経験」のみで構造躯体の安全性を判断するのではなく、その建物にかかる地震力や風圧力を数値で算出し、それに耐えうる構造にするためにロジカルに科学的に計算していくという作業を「構造設計士」と共に協議しながら、計画していくプロセスが絶対的に必要だと考えているのです。 バウムスタイルアーキテクトがこれまで建てた住宅はもちろん、これから建てる住宅も、全て「許容応力度構造計算」を行い、耐震性の裏付けが確保できる住宅であり続けます 。

「耐震等級3」の耐震性能を確保する

「許容応力度構造計算」を行うことで、ロジカルな数値でその建物の安全性を確保していくわけですが、そこでは耐震性のレベルをどこかの基準に設定する必要があります。最低でも「建築基準法」の基準をクリアするのは当然ですが、しかし、この基準はあくまでも最低限度の基準であることを知っておいてください。建築基準法ギリギリの水準の住宅では地震国日本においては、かなり不安です。建築基準法よりも更に高い性能が必要だと思います。

そこで、新しい基準となっているのが「住宅品質確保促進法」に基づく「耐震等級」です。これは、「等級1」から「等級3」まで3段階あり、「等級3」が最高等級となります。「等級3」は「数百年に一度の大地震の1.5倍の地震力に対して倒壊しない」レベルの耐震性と定義されています。

長期優良住宅では「耐震等級2」以上が求められますが、バウムスタイルアーキテクトではそれ以上の最高等級である「等級3」を標準としているのです。

先に述べた「許容応力度構造計算」によって通常の1.5倍の耐震性を裏付けて構造躯体を計画することで、大地震から家族の命を守る家を提供したいと考えています。

工法については、一般的な「在来軸組み工法」と木造ラーメン構造である「SE構法」の2種類から、その建物のコンセプトや間取り等を考慮してどちらかを選択しご提案します。いずれにしても、「許容応力度構造計算」を行い「耐震等級3」の基準をクリアすることで、安心して暮らせる家になることをお約束します。

このように、数値に裏付けられた「構造計算」を行い、更に「耐震等級3」をクリアすることで、大手ハウスメーカーではなくとも安全性の高い性能品質の住宅は実現可能です。クライアント様のこだわりを叶えながら高性能の建築を実現するバウムスタイルアーキテクトのスタンスです。