主室と時間を編む住まいー横井上の家 2025

ご夫婦と3人のお子様が住まう住宅である。
主室と中庭を中心に捉え、家族の気配を感じながらも自然が感じられる住まいを計画した。

住宅性能
躯体性能 耐震等級3(許容応力度計算による構造計算)
外皮性能 Ua値 0.5 C値 0.7 (断熱材:屋根・壁とも木繊維断熱材 ウッドファイバーを使用)
取得認定等 認定長期優良住宅取得 住宅性能表示(設計評価 取得)

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中庭は、ピットリビングとして少し沈んだ形式で、地盤面と植栽との距離を近くに感じられるようにしている。

駐車スペースを、あえて敷地の奥側にすることにより、奥行きの感じられる佇まいとなっている。

玄関は、少しゆったりと空間をとり、来客をゆったりと迎えられるようにしている。
床は大谷石。正面の開口部にベンチを併設している。

キッチンはL型として、主室にも開きながら回遊できる動線をつくり出している。

主室(リビング・ダイニング)は2層分の吹き抜けを持ち、2階のスタディコーナーと繋がり気配の感じる空間としている。
リビングのソファーコーナー部分の開口部は、北側の山の景色を見やすくするため角の柱を無くし、L型のガラスのコーナーで納めている。
ダイニングからは、中庭とつながるデッキが一体となった空間としている。

2階へ上がる階段は、鉄骨造とし階段下を書斎としてスペースを確保した。
キッチンからの直線で、行き来できる構成としている。

約3帖の和室 来客の宿泊のできる場所として設た。
廊下を介して、中庭とつながり閉鎖感を感じない空間としている。

主寝室は、平家建て部分に位置し天井を柔らかな木のR天井で空間を包んだ。
ゆったりとリラックスして就寝できる空間を目指した。

2階のスタディコーナー 吹き抜けと繋がった空間で、カウンターの反対側には本棚を設ている。

主室と時間を編む住まいー横井上の家

敷地は、約40年前に開発分譲された住宅地の一画にある。

既存住宅と石垣を解体し、造成とアプローチの再編を行いながら、敷地の持つ高低差や周辺環境をあらためて読み直すことから、この住まいの計画は始まった。

この家では、家族が日常の中で最も長く過ごす「主室(リビング・ダイニング・キッチン)」を住まいの中心に据えている。敷地は前面道路より約1.2m高く、その高低差を活かして道路側を平屋、奥を二階建てとし、主室と中庭を敷地の中央に配置した。

中庭は、単に光や風を取り入れるための庭ではない。主室と一体となった生活の場として計画している。

室内と屋外を行き来する中で、植栽や光、風の気配が自然と感じられ、家族が互いの存在を意識しすぎることなく、緩やかにつながる距離が生まれる。

また、断熱や開口、設備計画を総合的に整えることで、室内の温度が急激に変化しにくい穏やかな環境を目指した。冷暖房には輻射の仕組みを用い、空気を強く動かすことなく、空間全体をやわらかく包み込むような心地よさをつくっている。

建築における「光の居場所」とは、光が空間に奥行きと静けさを与え、人が自然と居たくなる場であると考えている。

ここでは、中庭を介して取り込まれた光が主室に穏やかに広がり、季節や時間とともに表情を変えていく。

光は単に空間を照らすのではなく、居場所の質そのものを形づくっている。

この住まいは、完成した瞬間が最も美しい家ではない。家族の暮らしが積み重なり、季節や時間の移ろいとともに、ゆっくりと馴染み、成熟していくことを大切にした住宅である。

木造2階建て(SE構法)
延べ床面積:128.71㎡(38.93坪) 離れ:4.14㎡(125坪) ガレージ:18.52㎡(5.60坪)
合計:151.37㎡(45.78坪)
建築設計:藤原昌彦+バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所
構造設計:株式会社エヌシーエヌ
造園設計:荻野寿也+荻野景観設計
施  工:株式会社フタバ
設計期間:2023年  11月~2025年   5月
施工期間:2024年  10月~2025年  9月
写  真:笹倉洋平/笹の倉舎