風景と暮らしのあいだに居場所をつくる住宅 「天城台の家」 2025

少し高台の約40年前に開発された住宅街の一画、50代のご夫婦と娘さんの3人が住まう住宅である。
その当時に建築された住宅を取り壊し、新たに敷地を読み込み暮らしの場を考えた。
| 躯体性能 | 耐震等級3(許容応力度計算による構造計算) |
|---|---|
| 外皮性能 | Ua値 0.43 C値 0.5 |
| 取得認定等 | 認定長期優良住宅取得 住宅性能評価(設計評価) |
建築中の様子はこちらへ 「天城台の家 ブログ」
YouTube取材動画はこちらへ(ホームランディックさん取材) 「天城台の家 YouTube」

敷地は、道路から1m程度上がっており、以前の駐車スペースは縦列に駐車する形で、使いづらさを感じた。
間口を広げ、並列に駐車できるように再編集を行い、掘った土は築山として再利用した。
また、アプローチ動線を長くし、庭を通り抜けるようにしている。


玄関スペースは、アプローチの延長線上に配置し抜けを感じる様にしている。
玄関入って正面には、開口部と一体となったベンチを設けた。

平屋建ての計画の場合、廊下がどうしても長くなり開口部を設けづらい場合がある。
今回は、長い廊下を利用し家族用の収納を計画。上部にトップライトを設けて、暗がりになりやすい廊下に光を導いている。

主室は、東側の眺望の良い池が眺めらる位置に配置を考えたため、建物の形状はL型をしている。
この形状により、東側の風景と住宅の屋外空間(庭)が分断されるのだが、主室の東西に大きな開口部を設け風景・主室・庭のつながりが持てるようにしている。主室は、東側の風景と住宅の屋外空間(庭)をつなぐ「あわい」の場である。



眺めの良い東側の開口部と連続するようにデッキを配置し、ゆっくりと寛げるようにベンチを設えた。

この縁側のような先には、広いテラススペースがあり大勢の来客の際にBBQを行えるスペースとしている。


キッチンは、建物の形状がリンクするようにL型としており、洗面・洗濯室へ直接繋がれるように動線を整理している。


和室は寝室として使用し、茶室のような設えをしており、ゆっくりと就寝出来るよう落ち着く空間としている。


夕景は、自然の丘の上に佇む住宅をイメージしている。
敷地は、少し高台の約40年間に開発された住宅街の一角にある。
南北に長く、道路より1mほど上がっており、東には景色の良い溜池が望める。
計画前の敷地には、以前住まれていた方の2階建ての住宅が建っており、この敷地や東側の眺望を活かせた住まいでは無かった。
クライアントは、50代のご夫婦と娘さんの3人家族で、心地よく穏やかに過ごす事の出来る平屋建ての住宅を望まれた。
敷地に立ったとき、東側の溜池へ開かれた風景に惹かれた。
この風景を暮らしの中へ取り込むために建物をL型としたが、その結果として東の風景と西の庭が分断されることになった。
私が考えたのは、それらを物理的につなぐことではなく、そのあいだに人が居られる場所をつくることであった。
主室は東の風景と西の庭のあいだに位置し、光や風、景色や時間が行き交う居場所となる。
私は、そのような場を「あわい」と呼んでいる。
「あわい」とは中間領域ではなく、人と風景の関係がゆっくりと移ろう場のことである。
車の駐車スペースとアプローチ、庭との関係性を明確に分けるのではなく、緩やかに繋がるように考えた。
敷地が道路から1m程度上がっていたこともあり、駐車スペースを確保するために敷地を少し掘り下げ、そこで出た土を盛り上げ築山とすることで緩やかに繋げた。屋外における「あわい」を創り出そうと試みた。
そうすることで機能を分離することなく、境界を曖昧につなぎながら、住まいへ向かう期待感を高めている。
「あわい」は単なる中間領域ではない。
人と風景、内と外、暮らしと時間を緩やかにつなぎ、その関係性を豊かにする場である。
天城台の家では、そのような「あわい」を住まいの随所に設えることで、風景と暮らしが静かに響き合う居場所をつくろうとした。
木造平屋建て(木軸在来工法)
延べ床面積:77.70㎡(23.50坪)
合計:299.72㎡(90.66坪)
建築設計:藤原昌彦+バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所
構造設計:株式会社倉敷構造設計室
造園設計:藤原昌彦+バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所
設計期間:2023年 10月~2024年 9月
施工期間:2024年 10月~2025年 7月
写 真:笹倉洋平/笹の倉舎
