Columnバウムスタイルの設計施工コラム
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バウムスタイルの耐震・断熱性能

安心して快適に暮らすために

バウムスタイルアーキテクトでは、耐震や断熱など基本的な住宅性能についても、こだわりを持って取り組んでいます。いつ大地震が来ても安心の構造躯体による耐震性能、できるだけ少ないエネルギーでも一年を通して心地よい暮らしを実現する断熱性能や省エネ性能。一見難しいと感じるこの住宅性能についても、計画段階からしっかりと考えて設計や施工をしていくことが、建築の専門家としての私たちの責務だと考えています。

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断熱省エネ性能について

バウムスタイルアーキテクトの家は、夏は涼しく、冬は暖かい、そんな一年中快適な暮らしを、無駄なエネルギーを使わなくても実現するような家づくりを目指しています。
そのためには、「断熱性」「気密性」「省エネ性」という住宅性能をしっかり考えて設計や建築を行うことが大切です。

断熱性能は等級6(UA値 0.46)を目指す

断熱性能には「UA値」という数値的な基準があります。
UA値とは、屋根・外壁・床下・サッシなど、建物の外側を覆う「外皮」と呼ばれる部分の断熱性能を平均した数値です。数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。
このUA値には「断熱等級」という基準が定められています。

断熱等級とUA値

地域区分1・2地域3地域4地域5地域6地域7地域
代表都市札幌市盛岡市長野市備前市岡山市鹿児島市
等級40.460.560.750.870.870.87
等級50.400.500.600.600.600.60
等級60.280.280.340.460.460.46
等級70.200.200.230.260.260.26
HEAT20 G10.340.380.460.560.560.56
HEAT20 G20.280.280.340.340.460.46
HEAT20 G30.200.200.230.230.260.26

現在の建築基準法では、等級4を満たせば確認申請は下ります(法的には問題ありません)が、それ以上の性能にするかどうかはお客様の選択に委ねられます。
なお「長期優良住宅」では等級5以上が最低条件とされています。

バウムスタイルアーキテクトでは、最低でも等級5以上、できれば等級6を超える性能を推奨しています。
間仕切りが多い小部屋中心の家なら必要性は低いかもしれませんが、吹き抜けや高天井のある開放的な設計の場合、家中で温度差がない暮らしを実現するには高い断熱性能が欠かせません。

建物全体の断熱性能では、壁や屋根と比べると窓の性能がどうしても劣ります。高性能のサッシを採用しても、ガラス部分の断熱性能は壁や屋根の断熱材には及びません。
そのため、同じ断熱仕様なら「窓が小さい家はUA値が良くなり、窓が大きい家は悪くなる」のが一般的です。

しかし、数値を優先して窓を小さくするのは本末転倒です。採光や眺望、庭とのつながり、空間としての心地よさを考えると、大きな窓をしっかりと組み込むことがとても大切です。

そこで私たちは、UA値を意識しつつも数値だけにとらわれず、設計のコンセプトやお客様の要望を大切にしながら、できるだけ高い断熱性能を実現できるよう工夫しています。
最低でも長期優良住宅やZEHの基準である等級5(UA値0.6以下)、できればHEAT20のG1基準(UA値0.56)や断熱等級6(UA値0.46)を超える性能を目指して計画します。

もちろん数値を上げるには、断熱材やサッシの性能を高める必要があり、その分コストに影響します。
そのため、性能とコストのバランスを取りながら、最適な基準で設計を進めています。

気密性能はC値を1.0以下にする

温熱環境という意味では「気密性能」も大切です。
建物の気密性はサッシの技術向上などにより、昔に比べて大きく向上しました。現在の住宅はある程度の気密性を備えています。しかしその一方で、気密が中途半端だと家の中に汚れた空気がこもり、換気がうまく機能しないという問題が指摘されています。

気密性能が低いと、隙間から空気が勝手に出入りしてしまい、計画的な換気ができません。換気をしっかり機能させるためには、中途半端な気密ではなく、十分な気密性が必要です。

気密性能は「C値」という数値で表されます。これは建物の床面積1㎡あたりにどのくらいの隙間があるかを示す指標で、実際に現場で測定器を使って確認します。

バウムスタイルアーキテクトでは、C値1.0以下となるように施工にこだわっています。これは全国的に見ても高水準で、計画換気がしっかり機能し、冷暖房効率も高まる安心できるレベルです。

省エネ性能は最高ランクを目指す

最後に、省エネ性能についてです。
これは断熱性能だけでなく、照明や給湯器、冷暖房機器などの設備の選び方にも大きく左右されます。

建物全体でどのくらいエネルギーを使うのかは、専用の計算で確認します。計算の方法や数値には「一次エネルギー消費量計算」や「BEI値」といった専門的な指標がありますが、ここで大事なのは、国の基準よりどれだけ省エネできるかということです。

バウムスタイルアーキテクトでは、基準より20%以上少ないエネルギーで暮らせる家を目指して設計しています。これにより、省エネ性能を評価する「BELS」で最高ランクの☆☆☆☆☆をクリアできる設計を標準としています。もちろん、コストとのバランスも考えながら計画します。

快適さと省エネを両立した住まい

以上のように、バウムスタイルアーキテクトでは、断熱性能・気密性能・省エネ性能の3つをバランスよく高めることで、快適さと安心を両立した家を実現しています。

断熱は等級6(UA値0.46)を目指し、気密はC値1.0以下を標準に。さらに省エネでは、国の基準より20%以上エネルギーを抑え、BELS評価で☆☆☆☆☆を獲得できる性能を確保しています。
これらを数値で裏付けることで、暮らしやすさが長く続く住まいを形にしています。

さらに必要に応じて太陽光発電を組み合わせることで「ZEH(ゼロエネルギーハウス)」の認定が可能になります。また、2024年から始まった、ZEHを超える「GX志向型住宅」の基準も標準仕様でクリアできます。

私たちは「これからの省エネ基準」も見据え、数字と実感、両方で安心できる家づくりを追求しています。

省エネ性能を高める設計と自然素材

断熱や気密といった数値だけでなく、設計の工夫や素材の選び方も省エネ性能を左右します。バウムスタイルアーキテクトでは、自然の力を活かす「パッシブデザイン」と、無垢材や珪藻土などの自然素材を積極的に取り入れ、心地よさと省エネを両立させています。

パッシブデザインで設計する

私たちは、自然の力を最大に活用した「パッシブデザイン」と呼ばれる設計手法を取り入れています。
夏の熱はできるだけ遮り、冬の温かい日差しをたくさん内部に取り入れる。そして、風通しをしっかりと考えて心地よい風が家の中を通り抜けるようにし、冷暖房機器に頼りすぎず快適に過ごせる住まいを実現する。こうした工夫は、省エネ性能の向上にも直結します。建物の性能数値だけに頼らず、設計の考え方そのものが暮らしの省エネ性を左右するのです。

そういうことを考慮しながら計画を進めていくことも、建築家としての当然の重要なことです。そういう意味では大手ハウスメーカーとそん色ないレベルの性能を維持していると自負しています。
それは、私たちが一般的な設計事務所とは異なり、建築まで自分たちで行えるという体制だからこそ培うことのできた証かもしれません。

自然素材を活かす

家は高性能であればそれだけで心地よく暮らせるわけではありません。
使う素材によっても体感としての快適さは異なりますし、それ以前の、設計そのものの考え方によって、快適で楽しく暮らせるかどうかも決まります。

無垢の木材や珪藻土などの自然素材は、触り心地が良く、人にやさしい素材です。更に、家の中の湿度を調節してくれる「調湿機能」を持っていることも大きな特徴です。特に湿度が高い夏の季節には、この効果はとても大きいです。この自然素材を床や壁、造作家具などにふんだんに使うことで、その効果を多く得られることができます。
この自然素材は、合板フロアやビニールクロスなどの工業化製品とは異なり、施工が難しい素材でもあります。その特徴を正しく理解し、現場の職人さんが丁寧に施工しないといけない素材なので、効率重視の大手ハウスメーカーでは積極的にお勧めしていないようです。その点でも、 1棟の建物を大事に建築するバウムスタイルアーキテクトの強みが活かされていると感じています。

設計についても同様です。その敷地環境やお客様のこだわり、望むライフスタイルなどをしっかりと把握して、そこに最適な暮らしを実現する家を設計提案していくことが、本来の私たちの役割です。 あくまでも建物全体の計画をしていく上で、性能面をしっかりと意識しながら、お客様が満足できる家を実現できるような提案をしていくことが、私たちバウムスタイルアーキテクトの考え方なのです。

耐震性能について

バウムスタイルアーキテクトが提案する家づくりにおいて、お施主様が安全で安心な暮らしを実現するためには、耐震性能は設計者として譲れない項目だと考えています。
この耐震性能を高めるうえで大切なのは、数値的に安心できるエビデンスのある構造を採用することです。

そのうえで、構造を計画する際にバウムスタイルアーキテクトが必ず実践しているのが、「許容応力度構造計算」と「耐震等級3の耐震性確保」です。

「許容応力度構造計算」を行う

日本の建築基準法では、建物を建てるときに「構造計算」=建物が安全かどうかを数値で確認すること、が義務付けられています。鉄骨造やRC造のような大きな建物はすべて構造計算を行い、その安全性を証明しています。

ところが、規模が小さい木造住宅だけはこの義務が免除されていて、代わりに「壁量規程(へきりょうきてい)」という簡易的な基準で済まされているのが現状です。そのため、多くの木造住宅は実際には構造計算を行っていません。

バウムスタイルアーキテクトでは、すべての家で「許容応力度構造計算」を行っています。これは専門用語ですが、簡単に言えば 「建物にかかる力をすべて数値にして、安全に耐えられるかどうかを確認する本格的な計算」 のことです。地震や風、建物の重さといった力をシミュレーションし、それに耐える柱や梁、金物のサイズ・強度を一つひとつ決めていきます。

多くの木造住宅では簡易的な基準しか使われていませんが、私たちは 鉄骨造やRC造と同じレベルの計算 を木造住宅でも行い、数値で裏付けられた安心をお届けしています。

「耐震等級3」の耐震性を確保する

構造計算だけでは、その建物がどの程度の耐震性を持つのかまでは分かりません。
そこで第三者にも分かるように耐震レベルを示す基準があり、それが「耐震等級」です。

耐震等級は、建築基準法で定められた最低レベルを「等級1」とし、

  • 1.25倍の強さが「等級2」
  • 1.5倍の強さが「等級3」

となります。等級3が最高ランクであり、最も安心できる耐震性能を持つ建物です。

バウムスタイルアーキテクトでは、すべての住宅で耐震等級3を標準としています。
工法は「在来木造」と「SE構法」の2種類をご用意していますが、どちらを選んでも必ず許容応力度構造計算を実施し、耐震等級3を確保する家をつくることにこだわっています。

「SE構法」を標準採用

「許容応力度構造計算」と「耐震等級3」の2つを実践することは在来木造工法でも可能ですが、その特性上、どうしても空間の自由度を制限されることが増えてしまいます。
そこで、これらを確立しながら更に空間の自由度の高い設計を実現するために、バウムスタイルアーキテクトが選んだ構法が「SE構法」です。

「SE構法」とは、木造でありながら優れた耐震性を維持しつつ、在来木造では不可能な大空間や大開口の設計を可能とする工法です。
強い接合部を持ち、数値に裏付けられた安心の構造躯体を実現することができます。大規模木造建築物の技術を応用して生まれた、この最先端の技術を最大に生かして、開放的な空間で安心して暮らせる家を実現することができるのです。

SE構法の解説動画

バウムスタイルアーキテクトでは、構造躯体にはこの「SE構法」を標準的としてご提案をしています。

「SE構法」の特徴

SE構法には4つの特徴があります。

① 強い接合部

最大の特徴は、この接合部です。柱と梁を特殊な金物で強固に固定することで、木造でありながら「ラーメン構造」と呼ばれる強い骨組みを実現します。

「ラーメン」とはドイツ語の Rahmen(枠・フレーム) に由来します。つまり「枠組み構造」という意味で、柱と梁を一体の枠のように組み合わせて強度を高める方法です。一般的な在来工法で使われる「ピン接合」とは異なり、「ラーメン接合」は壁に頼らずに柱と梁そのものがしっかりとつながって地震の揺れに耐える仕組みです。

② 強い耐力壁

一般的な木造住宅では、柱と柱の間に「筋交い(すじかい)」と呼ばれる斜めの材を入れて耐力壁をつくります。
一方、SE構法では「G-BOARD」と呼ばれる専用の構造用ボードを使用します。

このボードを「TN釘」という特殊な釘でしっかり固定することで、在来工法で使われる片筋交いの約5.8倍もの強さを発揮できます。

この高い強度を持つ耐力壁があるからこそ、柱や壁を少なくしても安全性を確保でき、広々とした大空間の設計を実現できるのです。

③ 安定した強さの構造用集成材

躯体に使用する木材は全て「構造用集成材」となります。
この構造材は、強度が安定していてその数値が表示されているという特徴があります。

強度性能が数値で分かっているということは、構造計算を行う上で非常に重要な要素です。
また、長い材を製造できるので、長いスパンの設計などが安心して行うことができるのです。

④ 許容応力度構造計算

通常の在来工法で耐震設計をする際には、「壁量規程」という「壁の枚数」を必要な枚数のみ設置するという簡易的な方法が使われますが、「SE構法」ではすべてが「許容応力度構造計算」という、鉄骨造やRC造で使われるレベルの高い構造計算を行っています。
ラーメン接合や強い耐力壁によって構成された構造躯体は、1棟1棟許容応力度構造計算」を行うことで数値としてエビデンスが裏づけられた安心の家となります。
このことも「許容応力度構造計算」を必須にしている私たちの考え方と合致しています。

SE構法によって実現した空間の家

まとめ:すべては安心で快適な暮らしのために

バウムスタイルアーキテクトの家づくりは、性能と暮らし心地の両立をめざしています。

断熱・気密・省エネ性能を高めることで、一年を通して快適で省エネな暮らしを実現。自然の力を活かした設計や、無垢材・珪藻土といった自然素材の活用により、数値には表れにくい心地よさも大切にしています。

そして、大地震に備えた耐震性能はすべての家で「耐震等級3」を標準とし、鉄骨造やRC造と同等レベルの構造計算を必ず実施。木造であっても数値で裏付けられた安心を提供します。

「性能」と聞くと専門的で難しく思われがちですが、私たちにとってそれは住まいの基本です。
お施主様が末永く安心して、そして心地よく暮らせる家を実現するために、一棟一棟丁寧に計画・設計・施工していく――それがバウムスタイルアーキテクトの家づくりの姿勢です。