パッシブ冷暖を搭載したセミコートハウス 吉備津の家

以前はこの地域の公園であった場所に住宅地として区画された敷地。
家族4人が穏やかに暮らせ、屋外の緑を楽しめるような住宅を考えた。

躯体性能:耐震等級3(許容応力度計算による構造計算) ※構造についてはこちらへ
外皮性能:Ua値 0.53 C値 0.7 ※温熱環境についてはこちらへ

工事中の様数はこちらへ  吉備津の家 ブログ

3間×5間の端正な切妻屋根の掛かるボリュームに、焼杉板を外壁に使用した和室が取り付く外観。

玄関ドアは木製で製作し、表札とインターホンを真鍮のプレートで製作しています。

玄関からLDKを見通すと、隣地の果樹園を借景に緑が見えます。

LDKは庭に面しており、ワンルーム空間としています。

ダイニングからの見返し。一部板張りをすることで空間にメリハリを付けています。

ダイニングと繋がるウッドデッキは、そのままテーブルを引き出すことで、外での食事(外飯)が出来るようにしています。

2階へ上がる階段は、螺旋階段としています。
上り下りする為だけでなく、インテリアの一部として、空間を繋げる間仕切りの様な役割があります。

和室は、来客室としても使える様に設えています。
庭に面して開口部を設け、旅館や茶室の様な雰囲気としています。

洗面所には、衣類乾燥機(乾太くん)を設置しています。

空調には、パッシブ冷暖を採用しています。
基本的には、エアコン一台で床下空間を使用して全館空調を行っています。

パッシブ冷暖を搭載したセミコートハウス 吉備津の家

敷地は、以前多くの樹木が植えてあった地域の公園であった。東側には、隣家の果樹園としている畑があり緑豊かな環境である。クライアントからは、家族が穏やかに暮らせ屋外を楽しめるような暮らしを望まれた。ここに以前あったかのような緑豊かな居場所のある住宅を目指した。

広さがある敷地ではあるものの、突当りの場所であり駐車スペースを確保し建物と庭の関係性を考えると建物のボリュームがおのずと導き出された。建物は、3間×5間の2階建てのボリュームに来客室となる和室と玄関を付け加えた形として、庭を取り囲むセミコートハウス形式とした。LDK空間は一室空間として、吹抜けを介して2階と繋がる。屋外へのつながりは、リビングでは庭を眺める為の開口部を設け、ダイニングにはウッドデッキを繋げ、外での食事を楽しめる様にした。上階へと上がる階段を螺旋階段とすることで、機能としての階段スペースではなく、空間をさりげなく分ける間仕切りの様な機能を持たせた。2階の寝室からは、1階の張り出した和室部分の屋根をテラスとしており、気候の良いときは外に出て夕暮れを楽しんだり、星を眺めたりできる様にしている。

端正な切妻屋根の掛かるボリュームの外壁は、左官による塗壁(シラスそとん壁)とし、和室部分に焼杉板を使用し、外観にメリハリを持たせた。

家族の成長と共に、木々たちが緑豊かな環境をつくり、伸び伸びと豊かな暮らしが出来る住まいとなった。

木造/SE構法(2階建て)

延べ床面積:106.55㎡(32.23坪)

建築設計:藤原昌彦+バウムスタイルアーキテクト

施  工:バウムスタイルアーキテクト

構造設計:株式会社NCN

外構造園:バウムスタイルアーキテクト

 

設計期間:2020年 4月~2021年 1 月

施工期間:2021年 2月~2021年 9月

写真:田中園子(QUA DESIGN style)