いつからか、夜が明ける前に目覚めるようになった。
私はこのうつろいゆく朝の時間が好きだ。
バウムとアーキの二人を連れて散歩に出かける。

まだ薄暗く、景色は夜の名残を残している。
けれど、少しずつ空が明るくなり始める。
鳥の声が聞こえ、
風が動き、
木々の輪郭が見え始める。
連れている二人は、そんなことにはお構いなしで、ちょこちょこと歩いている。
朝日は一瞬で昇るわけではない。
暗闇から明るさへ。
その間には、ゆっくりとした移ろいがある。
私は、その時間がとても心地良い。
完全な夜でもなく、
完全な朝でもない。
その境目の時間には、不思議な静けさがある。
建築を考えていると、
この朝の景色がふと頭をよぎることがある。
明るさだけではなく、
暗がりだけでもない。
そのあいだにある豊かさ。
私は、そんな時間を感じられる住まいに惹かれるのかもしれない。
藤原昌彦