階段を中心に居場所が繋がる吹抜けを持つ「高屋の家」 2021年
岡山市内の閑静な住宅地に建つ4に家族が住まう住宅。
家族が気配を感じながら豊かに暮らせる住宅を計画しました。
躯体性能:耐震等級3(許容応力度計算による構造計算) ※構造についてはこちら
外皮性能:Ua値 0.49 C値 0.6 ※温熱環境についてはこちらへ
認定長期優良住宅取得
外観は、切妻屋根として、焼杉板を外壁に使用しました。
平面計画を30°振ることにより生まれた凹みを利用し玄関を設けました。
導かれるように玄関へ向かうアプローチなりました。
玄関ホールから主室を見る。
主室は、一体となった空間となっており、吹抜けを介して2階と繋がる。
上下を繋ぐ階段。階段下には、ご主人の書斎コーナー。吹抜け周りには、造作した本棚を設置し窓際に奥様とお子様の書斎コーナーを設置しました。
寝室は、間仕切りや扉のないワンルーム空間としています。
個室も同じように、建具は取り付けず繋がった空間としています。
西側に田畑用の綺麗な水の流れる用水路があり、その向こうには地元の農家住宅と田園がある新しい分譲地の一画に建つ家族3人の暮らす住宅である。
クライアントはアンティークのランタンや色々な暮らしの道具を大切にメンテナンスすることを趣味としており、奥様も仕事で使用する道具やモノを製作されることが多くあり、それぞれの居場所が求められた。敷地は、新規分譲地の道路が3方より交わる部分に位置し、少し変形した敷地であった。これから建つであろう周りの住宅を想像しながら、西側に広がる豊かな環境を感じられ、家族が色々な居場所でそれぞれのことをしていても気配を感じることのできる住宅を考えた。建物の形状は長方形平面に道路に面する様に三角形のくつろぎの場を挿入し、2階平面はその三角形に沿う様に長方形が折れ曲がった形状としている。三角形の場は、くつろぎの場となるソファーコナーとして上部は吹抜けとすることで上階と繋がっており、玄関、水廻を除いて多くの居場所(LDK・スタディコーナー・寝室・個室)が繋がるような立体ワンルーム空間とした。ダイニングは、西側の景色の良い方向へ向けて開口部を設け、広がりをつくりだしている。ご主人は階段下の籠った部分、奥様は階段を上った廊下部分に居場所をつくり、階段のある空間にそれぞれ距離感を考えながら設計を行った。
外観は折れ曲がる形状としているため建築階高を抑えることで低くし、瀬戸内海地方で昔からよく使用されている焼杉板を外壁材として使用することにより色彩的にもボリュームを抑える配慮を行った。余白部分に駐車スペースと植栽を施し、少しでも緑を町に提供できるように配置した。
コンパクトながらも屋外と繋がり、家族が繋がり、まちと繋がる。これからの暮らし方を模索する時代に即した住宅ではないかと思う。
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木造2階建て(SE構法)
延べ床面積:95.16㎡(28.78坪)(1階 53.52㎡ 2階 41.64㎡)
建築設計:藤原昌彦+バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所
構造設計:株式会社エヌシーエヌ
設計期間:2020年 3月~2021年2月
施工期間:2020年11月~2021年9月
写 真:笹倉洋平/笹の倉舎