私は北欧家具が好きです。
アトリエにもいくつかありますが、中でもお気に入りはCH24、通称Yチェアです。

もちろん、それだけではありません。
ハンス・J・ウェグナーをはじめ、ボーエ・モーエンセン、フィン・ユール、アルネ・ヤコブセンなど、多くのデザイナーが、時代を超えて愛される家具を生み出してきました。
私が北欧家具に惹かれるのは、デザインの美しさだけではありません。
木という素材を知り尽くした使い方。
細部まで丁寧につくられた加工技術。
そして何より、何十年経っても古さを感じさせない普遍性があります。
使い込むほどに木肌に艶が生まれ、小さな傷さえも、その家具だけの表情になっていく。
そんな姿を見ていると、「良いものは、時間とともに育つ」のだと感じます。
住宅も同じではないでしょうか。
完成した瞬間が一番美しいのではなく、家族の時間が積み重なり、庭の木々が育ち、床や柱に暮らしの痕跡が刻まれていく。
そうして少しずつ、その家だけの表情が生まれていくのだと思います。
だから私は、家具を単なるインテリアとしてではなく、建築の一部として考えています。
窓辺に置かれた一脚の椅子が、その家で一番好きな居場所になることもあります。
流行は、いつか過ぎていきます。
でも、本当に良いものは、時代を超えて愛され続けます。
北欧家具は、そのことを静かに教えてくれます。
私もまた、何十年先も暮らしに寄り添い、愛着を育んでいけるような、普遍性のある住まいをつくっていきたいと思っています。
藤原昌彦