コンビニなどの手洗い場で、水が飛び散っていたり、手を拭いた後のペーパーが
散乱していたりすることがある。
そのままにすることもできる。もちろん、店員さんが定期的に掃除をするのだから、
放置しても大きな問題にはならないのかもしれない。
それでも私は、自分が使った後はできるだけ綺麗な状態にしておきたいと思う。
限界はあるのだけれど、次に使う人が気持ちよく使えるように。
そこには「配慮」がある。
誰も見ていないし、感謝されることもない。
それでも、こうした小さな配慮が自然にできる人に出会うと、大切な資質がある人だと感じる。
設計やデザインは、形をつくることではない。
その先で使う人、目にする人、そこで過ごす人のことを想像することから始まる。
どのようなものがあれば心地よいのか。
どのような順番で組み立てれば使いやすいのか。
どのような距離感なら安心できるのか。
ものづくりの根底には、いつも人への思いやりや配慮、そして想像力がある。
多くの人は、言われてから動く。かつての私もそうだった。
けれど、建築家やデザイナーには、自ら気づき、考え、動く人が多いように思う。
自分で気づいて行動することは「姿勢」であり、言われて行うことは「作業」である。
ほんの少しの配慮に気づき、自分から動く。
そんな姿勢を持つ人が増えれば、世の中はもう少し気持ちよく、豊かなものになるのではないだろうか。
藤原昌彦