樹々の葉が生い茂る季節になると、なぜか木の下に座りたくなる。

屋根のように完全に覆われているわけではない。けれど、不思議と落ち着く場所である。
葉と葉のあいだから差し込む光は、地面や壁に模様を描く。
風が吹けば葉が揺れ、その隙間から漏れる光もまた形を変える。
同じ場所にいても、同じ景色はひとつとしてない。
そこには時間があり、風があり、季節がある。
私は、木漏れ日の魅力はこの「うつろい」にあるのではないかと思っている。
均一な光ではなく、刻々と表情を変える光。

木漏れ日は、ただ空間を明るくするためのものではなく、光そのものが風景の一部として存在している。
そしてもう一つ、木漏れ日には安心感がある。
樹々の葉がつくる屋根の下で守られながら、外の空気や風を感じることができる。
そこには、開放感と安心感が共存している。
だからこそ人は、木陰に身を置きたくなるのかもしれない。
木漏れ日は、私たちに時間の流れや自然のうつろいを感じさせながら、人の感覚を静かに整えてくれるのである。
藤原昌彦