街並みに溶け込む瓦屋根の平屋「高梁の家」 2019 住宅建築 No.485 掲載

桜が美しい庭と広い敷地の平屋建て。
前の所有者が大切にしていた庭を活かし、眺めてくつろげる家を考えた。

躯体性能:耐震等級3(許容応力度計算による構造計算) ※構造についてはこちらへ
外皮性能:Ua値 0.52 ※温熱環境についてはこちらへ

建築中の様子はこちらへ  高梁の家 ブログ

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

外観は高梁の街並みと既存の蔵に合わせて、屋根にはいぶし瓦、外壁は焼き杉板を使用した。

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

平屋はT字型にして、プライベート空間とパブリック空間と桜を愛でるくつろぎの場を分けた。
平屋を斜めに貫通するように設計されたテラス(ウッドデッキ)。
リビング・ダイニング、洗濯室、勝手口、それぞれから目的に合わせたテラスに出られる。

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

庭には桜のほかに梅や紅葉もあり、四季折々の彩を見せてくれる。
リビングから伸びるテラス(ウッドデッキ)は桜に向かっている。

特徴的な玄関屋根。屋根部分は玄関の内側まで続いており、自然と招き入れられたような印象を受ける。

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

和室にある大きな開口部。たっぷりと自然光を取り込み、壁に飾られた絵のように庭を眺めることができる。

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

木と薪ストーブのある温かい雰囲気のダイニングスペース。リビングより1段高い位置にあるので、庭への目線を邪魔されない。

高梁の家 街並みに溶け込む瓦屋根の平屋

リビングを一段低くしたことで、ソファに座れば窓枠に邪魔されることなく桜全体を眺められるようにした。

居場所や時間によって光と影の移り変わりを楽しめるように開口部を設けている。

街並みに溶け込む瓦屋根の平屋「高梁の家」

敷地は岡山県高梁市内、備中松山城の城下町の一角であり伝統的な街並みを残した通りからほど近い場所に位置している。

計画前に敷地を訪れると、高梁の街並みを彷彿とさせる立派な蔵や日本庭園、そして控えめな佇まいの平屋建ての住宅が残っていた。
クライアントは、この広い敷地を有効に利用し庭と密接につながる豊かな暮らしを望まれていた。

敷地の周辺環境課や状況、街並み・佇まい・要望を検討する中で、既存の小さな住宅を撤去し、敷地が持つ記憶を引き継ぐように、
既存の蔵や庭木を最大限に保蔵・活用しながら、伝統ある街並みに馴染むようなたたずまいの平屋を考えた。

プランは、この敷地の記憶を引き継ぐように、以前あった門から玄関までのアプローチ導線をあまり変更しないようにし、
主室(居間・食堂)や和室から本敷地を象徴する南東の立派な桜を眺められるように、建物の形状をT字型の平面計画とすることにした。
T字型の突き出た部分に居間等の主居室を配置することで、生活空間と動労の距離を保ちながら、三方向の庭と繋がる開放的な空間となるように計画を行った。
また、主居室からは庭を楽しめるように大開口を設けているが、あえて軒を深くすることにより、解放感と共に何かに包まれるような落ち着きと安心感のある空間となった。
主居室に設えた家具も空間と一体となる様に空間のプロポーションに合わせて設計を行い、
建築・家具・庭が繋がり豊かな空間となる様に慎重に検討を行った。

そして、特徴的な形状のテラスは、T字型の平面を斜めに貫入するようにデッキを配置することで、居間、食堂、洗濯室、勝手口からてらすに出ることができ、
庭や桜を楽しむ場、七輪でちょっとした焼き物やバーベキューをする場、洗濯物を干す場など、
それぞれの庭と居室の関係を繋ぐ場所となった。

建物外観は、切妻の瓦屋根とし、その勾配・形状は既存の蔵を実測し同勾配とすることで融和を図った。
外壁材には中国地方で古くから使用されている焼杉板を張り、蔵の漆喰と色の対比をさせることで、景観の一部となることを目指した。

長い年月が経過する中で、素材の経年変化を楽しみこの端正な佇まいの住宅が高梁の街並みに溶け込み、この街らしい風景の一助となることを願う。

木造/在来軸組工法(平屋建て)
延べ床面積:153.81㎡
設計:藤原昌彦(バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所)
施工:木口建設株式会社
構造設計:長坂設計工舎 長坂健太郎 馬上友弘
家具:ハオアンドメイ 傍島浩美
設計期間:2016年10月~2018年5月
施工期間:2018年11月~2019年11月
写真:笹の倉舎/笹倉洋平(https://www.sasanokurasha.com)