田園風景を包み込む L型セミコートハウス 矢掛の家 2020
田園風景の広がるのどかで広さのある敷地に建つ平屋建ての住宅。
のどかな田園風景と山の緑が望めるような、家族の集う場のある住宅を考えた。
躯体性能:耐震等級3(許容応力度計算による構造計算) ※構造についてはこちらへ
外皮性能:Ua値 0.54 C値 0.7 ※温熱環境についてはこちらへ
建築中の様子はこちらへ 矢掛の家
田園風景を取り込めるように、雁行したL型平面をした平屋建てのコートハウス。
矢掛町の山(高妻山)や田園風景が望める様に東面に大開口を設けた。
約5mの開口部は、建具引き込める様になっている。
リビング・ダイニングの天井は、かまぼこ型のR天井とし桐の板を使用した。
キッチンは、リビング・ダイニングと一室空間として、キッチンの床レベルを下げることで、ダイニングに座った目線とキッチンでの作業する目線が近くなる様にした。
プライベートゾーンにつながる廊下には、本棚を併設している。
天井には、トップライトからの明りがルーバー越に入ってくるようにしている。
くつろげるように灯りを丁寧に設計したリビング空間。
矢掛町は江戸時代 参勤交代制により西国街道(山陽道)の宿場町として繁栄し、矢掛本陣のある通りは伝統的町並み保存をされている地域である。
敷地は、田園風景の残る山裾に近い豊かな環境であり、北東側には高妻山を望むことが出来る。ここに、4人家族が穏やかにこの自然を享受できる住宅を考えた。
敷地面積は約120坪と比較的大きく、環境と相まってゆったりと感じた。クライアント様の丁寧な暮らしぶりとこれからの暮らしのイメージを共有していく中で、柔らかな光のあふれる空間で家族や友人が集まって楽しそうに自然を眺めているようなイメージが浮かんだ。家族が集うスペース(LDK)は山に向かって開口部を設け、全部を開放できるようにし豊かな自然と繋がる様にした。この空間の天井は、ボールト天井(かまぼこ型)にしており、仕上げ材に桐を使用した。この天井は、光を柔らかく吸収しグラデーションをつくり、光の美しさと落ち着きのある光の空間となった。また、中心に据えた薪ストーブは、人が集まる場所となり、揺らめく炎の後ろ側に豊かな自然が広がっている。
外観は、端正な寄棟の屋根の掛かった佇まいとして、外壁にはレッドシダーの板貼りとして、経年変化を楽しめこの豊かな風景に馴染むようにした。
庭には、クライアントが自ら製作した薪棚があり、建築と植栽と相まって穏やかな情緒を与えている。
これから年月をかけて家族の成長と共に味わい深い暮らしが出来る住宅となった。
木造/SE構法 平屋建て
延べ床面積:115.63㎡(34.97坪)
設計:藤原昌彦(バウムスタイルアーキテクト一級建築士事務所)
構造設計:株式会社NCN
家具:ハオアンドメイ 傍島浩美
外構:造園設計:バウムスタイルアーキテクト
設計期間:2019年1月~2020年 5月
施工期間:2020年1月~2020年11月
写真:笹倉洋平/笹の倉舎(https://www.sasanokurasha.com)