クライアントの力

藤原の日記

雨が降ったり止んだりと、なんだか変な天候ですね。明日からは良い天気になりそうです。

約1年ほど前に、同じ設計をしている方からとある相談を受けました。

内容は、お客様とプランの打ち合わせを行なっているのだが、なかなか纏まらないとの事。これまでに5プラン程度出して打ち合わせしているお話でした。

詳しく話を聞いてみると、設計者がプランをしてお話をしていると、次回その提出したプランをもとに、お客様がこうして欲しいと間取り図を書いてくるそうです。

外観や形は、ある程度にているものの内部の間取りついては、色々と変更がなされている状態だそうです。

その間取りは、どうしても整合性の取れないもので、コストもかかりそうになっているので、修正のプランを行うとまたお客様が間取り図を書いてくるといったことが続いたそうです。

私の回答としては、お客様に間取り図を書かないことを約束させることを伝えました。そして、間取り図を書くのであれば、その図を持って工務店へ紹介してみてはと。

お客様でも間取り図はかけます。しかし、一旦書いてしまうと、その間取り図が一番になってしまい、どんな提案を受けても納得ができなくなってしまうからです。

私どもが手掛ける建築の計画は、間取りだけではなく、予算面や構造・温熱・周辺環境など多くの事を整理しながら進めていく「プラン」なのです。

お客様の要望や予算、周辺環境などを総合的に判断し提案をしているのです。

自分自身の家なので、書いてみたい気持ちも分かります。その気持ちをグッと抑えつつ、提案される「プラン」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

クライアント様の力(任せる力)が良い建築をつくる実は一つの要素なのです。

この相談頂いた設計者のお客様の住宅は、ようやくまとまったとの事。

結局、一番最初に提案したプランに近い内容となり、お客様からは遠回りしてしまったと言われたそうです。

なんとか、纏まって良かった。お客様の理解力があったのだろうと思います。

藤原昌彦