気候風土とパッシブデザイン…設計作法04

藤原の日記

春の温かさが、待ち遠しい日々が続きますね。

聴竹居

こう寒いと、住宅の設計で気になるのが、断熱性能や気密性能ではないでしょうか?

冬は暖かく、夏は涼しい家。本当に理想的ですよね。

そんな住宅を実験的に建てた建築がいました。

写真は、京都にある聴竹居。 建築家 藤井厚二の自邸であり、実験住宅でもあります。

何と、5回も自邸を造っては壊したり、人に譲ったりとしていたそうです。

その5番目の住宅が、京都の大山崎にあります。(竹中工務店さんの所有で、予約すれば見学可能?だと思います。)

「日本の気候風土に適合した住宅とはどのような住宅か」と懸命に考え、工夫を凝らし造られています。

まさに、80年以上も前にパッシブソーラーデザインが存在していたのです。

屋根の形から、軒の出、開口部の取り方、サンルーム、夏の涼しい空気を取り入れ、各部屋へ送る通気口…あらゆる仕掛けがなされています。

数字だけの断熱性能で、判断するのではなく、その根拠となるべき建築の考え方を、まず検討してください。

風土に即して、設計された住宅は、必ず温熱環境も良くなっていると思います。

私が設計する住宅は、そのような考えをもとに設計を行い、温熱環境のシュミレーションを行っています。その上で、皆様にもわかる様に指標として数字を使っています。

指標としては、平成25年省エネ基準の適合としています。(実は、この基準が採用される前から、この基準を基本としています。)

この結果をみると、今まで設計をさせて頂いた住宅も気候風土を守りながら設計を行うと、自然と結果(断熱性能や省エネ基準)がついてきます。

デザインと性能の融合。難しいバランスですが、まだまだ極めていきたいと思います。

設計作法04<パッシブソーラー>
豊かな暮らしを考える上で、大切にしている考え方の一つにパッシブソーラーデザインがあります。
自然と触れ合う生活といっても冷暖房の設備は不可欠です。
しかし、常に冷暖房をつけっぱなしにするのではなく、太陽熱の有効利用や通風を確保することにより、
出来る限り設備に頼りすぎない、夏涼しく冬暖かい家をシュミレーションしながら設計していきます。
こういった考えの方が、より地球にやさしいのではないかと考えます。

藤原昌彦